はじめに
人は何故、焼物に魅せられるのでしょう。
両の手で岩間の清流の水をすくい口にした時、掌は器でした。人類が唇に感じる原初の心地よい器です。
自然との営みの中で木をよび、土をよび、火をよび、焼物も造り出されました。自然と密着していた時、唇も手も、そして目も、それらのものを心地よいものとして感じていたはずです。
花、鳥、風、大地すべてが、自然の中で心地よい旋律をはなちながら息づき、静かに存在しています。
良い物、良い器に出合う時、私は それらの物に同じ旋律の風を感じます。
心をときめかせ、人の詩精神の扉をたたく豊かさは、いつも「感じる」世界にだけ存在し、「知」や「見る」世界には存在していない様に思えてなりません。
「感じる」事が飛び去らぬ様、糸の先にしっかりくくりつけ、自分のまわりを浮遊させながら、この時代のものづくりとして、仕事をしてゆこう、己の分を「気配」として発酵できる様仕事してゆきたいと願っています。
高村光太郎が言っています。「隣人のために私は物をつくる。」
工芸家の態度として明確な言葉です。
私の焼物が、隣人にとって、料理の、花の、 空間の、おいしさの手伝いになればと念じています。
良き隣人であるみなさまの言葉を待っています。
風ン谷淳窯 主人
当窯について
佐賀県嬉野市にて窯を開いております。窯にはHP掲載商品のほかにもたくさん置いてございますので、お近くへお越しの際はぜひお立ち寄りください。不定休を頂いておりますので、事前にお電話を頂けますと安心です。
〒843-0305
佐賀県嬉野市嬉野町大字不動山丙2166
TEL:0954-42-0379